『インテル戦略転換』

「序章 パラノイアだけが生き残る」

・「パラノイア(病的な心配性)だけが生き残る」
・成功の陰には、必ず崩壊の種が存在する。成功するほど参入者が増え、最後には何も残らない
・経営者の重要な仕事は、外部からの攻撃に備え、その姿勢を部下に繰り返し教えこむこと
・戦略転換点を知ること、対応することがもっとも重要
・戦略転換点とは企業の基礎的要因が変化しつつあるタイミングである
(企業が新たなレベルへとステップアップするチャンスかもしれないし、終焉に向けての第一歩かもしれない)
・戦略転換点は技術的変化による場合もあるが、普通の技術的変化よりも激しい変化になる
・戦略転換点は競合がもたらす場合もあるが、単なる競争にはとどまらない
・戦略転換点は事業のあり方を全面的に変えるので、新技術の導入や競合との争いの激化といった方策では対応できない
・変化をもたらす力は静かに蓄積するため、何がどう変わったか見えにくい。ただ何かが変わったということだけがわかるだけ
・戦略転換点を見過ごすと命取りになる可能性がある。この変化で衰退し始めた企業はかつての栄光を取り戻せないだろう
・新規参入、既存にかぎらず新しい変化に対応できる企業にはチャンスがある
・戦略転換点の影響を受ける側になることもあれば、作り出す側になることもある
・インテルは80年代半ばに日本メーカーが引き起こした戦略転換点に影響され、メモリーから撤退しマイクロプロセッサに進出し、
 インテルのマイクロプロセッサ事業は戦略転換点を生み出し他社はその影響を受けた
・戦略転換点はいかなる産業においても存在しうる
 (ATMが銀行業務を変えた、エンタメがデジタル保存、配信されればメディア産業は変わる)
・テクノロジー分野では可能なことはいつか必ず実現される。この変化を食い止めたり逃げ出すことは出来ない。
 できることは万全の備えをすることだけ
・どれほど詳細な事業計画をもってしても変化の予測は不可能であるが、事業計画は必要である。
 それは消防署の事業計画というべきものである。次の家事がどこで発生するかは予測不能だが、
 不測の事態に対して対応出来るだけのチームを編成するということだ

「第一章 何かが変わった」

・創業以来26年、製造した製品が適切かどうか判断するのはインテルであり、取引先はメーカーで消費者との接点は乏しかったが問題はなかった。しかし技術的には些細なペンティアム問題が発生した時に大炎上し対処に苦労をすることになった
・原因1:ペンティアム問題の数年前からインテルインサイドキャンペーンで消費者にインテル製品を周知させていたため、
 ペンティアムに問題が発生した時にユーザーがインテルに厳しい視線を向けてきた
 (技術的に些細な問題をメディアが面白おかしく取り上げ、末端のユーザーが大挙して問い合わせてくるとは予想できなかった)
・原因2:10年で世界最大の半導体メーカーになったので自社が巨大企業になっているという自覚が乏しかったが、
 ユーザーにとってはインテルは巨大企業であり、巨大企業が消費者を騙そうとしているように思われてしまった
・ルールが変わっていたが気付かなかったし、気づいた後には新しいルールが何であるかわからなかった
・ルールの変化を察知し、適切に処理する能力が必要
・現場に近い人、外部接触の機会の多い人ほどルールの変化に気づきやすく、幹部ほど変化を知るのは遅く、
 経営者は最後ということがよくある
・CEOは宮殿の奥にいるので、外からの情報は何層もの人的フィルターを通るうちに濾過されてしまう
・変化に気づき、適応しなければならないと理解するまでには容赦無い批判の集中砲火が必要だった

「第二章 「10Xの変化」」

・戦略転換点は激流のようなもの
・事業に影響する6つの力 1.競合 2.顧客 3.供給業者 4.代替 5.新規参入 6.補完
・代替:最も競争を左右する要因。生産やサービス提供方法が変わる可能性。
 トラックや航空機が鉄道にどう影響?
 コンテナ船が既存の港にどう影響?
 大型店舗が小規模店舗にどう影響?
・補完:補完関係にある企業の力、自動車会社にとって石油会社、ハードメーカーによってソフトメーカーは補完関係にある企業
・事業基盤の要素変化がケタ違いの規模になると予想はことごとく裏切られる
・6つの力の一つが大きく変化することを「10X(力の大きさが10倍になっている)」と呼ぶ
・10Xに直面すると自社の運命はコントロールできなくなり、未知のことばかりが起きる、従来の経営方法では対応できない
・10Xでは混乱が激しく不安定な時期であり、業界の秩序も大きく変化する
・「古い安定期→10X期→新たな安定期」
・10Xは移行期である
・10X期の入り口が戦略転換点である
・戦略転換点は様々な力のバランスが変化し、これまでの構造、手法、競争方法が新たなものへと移行してゆく点
・戦略転換点では曲線は微妙だが根本的に変化し元に戻ることはない
・いつ戦略転換点が来るかを正確に示すことは難しい、後から振り返っても知ることは難しい
・振り返っても知ることが難しい戦略転換点だが、通過しているときは各自が違った時点で通過中であると感じる

・戦略転換点が明らかになり、新たな道を見つけるステップ
1 何かが違うという不安感を感じる、以前ほどうまくいかなくなり、顧客の態度も変わる、売れるものを作れなくなる、
 競合や今まで知らなかった企業が自社のシェアを奪い出す
2 企業や取り組んでいるはずのことと、実際に内部で起きていることのズレが大きくなる
 企業方針と行動の不一致が、従来の混乱と違うことの暗示
3 新しい枠組み、考え方、動きが生まれる(ここまで来るのに1年から10年かかることもある)
4 新しい経営方針が生まれる、それを生むのは新たな経営陣であることが多い

・戦略転換点を通るのは、ハイキングで道に迷うというよりも死の谷に冒険を犯して立ち入ることに近い
・何が正しいかはチーム内でも意見が別れ、激しく意見が対立し収集がつかなくなる
・既存事業で経営を維持しつつ新事業を展開できるのであれば助かる可能性があるが、
 それは全体像も見えずにデーターも揃わない状態で行動すること
・戦略転換点という乱気流に巻き込まれたら直感と個人的判断しかない
・普段から直感力を磨き、さまざまなシグナルを感知できるようにする
・戦略転換点とは、目を覚まし、耳を傾ける時

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