一年をかけて、日本の産業を徹底的に研究しつくした。
二人のバイトを雇い、毎日図書館に入り浸り、ありとあらゆる経済誌などを切り抜き、まとめた。
また、日米間を往復し、産業構造を比較によってつぶさに観察した。約40種類の事業を考えたという。
ソフトの開発事業は勿論、病院のチェーン店まで考えたが、最終的にはソフトの流通を行うと決定した。

孫正義の起業するための条件
一、ある特定のビジネスを始めると決めたら、少なくとも50年間熱中できるかどうか。
  数年間、夢中になっても現実が見えてくると、その仕事に嫌気がさせいていまうのではなく、年を経るにつれて、ますます熱中できるビジネスであること。
一、そのビジネスは当然、儲かる商売・事業であること。
一、少なくとも向こう30年ないし、50年間は成長が見込める分野であること。
一、将来、企業グループを作ることを前提とし、その核となりうる事業であること、
一、そのビジネスはユニークであり、かつ誰にもやれないこと。
一、大きな投下資本を必要としない事業であること。
一、10年以内にそのビジネスで、少なくとも日本のナンバーワンになれること。

・――ソフトバンクは猛スピードで事業を広げています。そこまで急ぐ理由は何でしょう。
「企業の価値は挑戦と進化で決まる。受け継いだものを守るだけでは会社は大きく強くなれない。世の中の進化に置いていかれて地盤沈下していくだけだ」

・「例えば、創業後30年間生き残る企業がどれくらいあるか。ありとあらゆる会社の0.02%しかないといわれる。
今から30年後、新社会人の多くは今の僕よりちょっと若いくらいだが、家庭を持ち、大黒柱として支えているだろう。
ただし、創業から30年で99%以上の会社は無くなっている。米アップルですら、倒産するのではといわれた時期もあった。30年後どうなるのか、先を読む選球眼が大事だ」

・「僕が考えた、働く上での極意が幾つかある。1つは『脳がちぎれるほど考えよ』。
米国に留学した19歳のころ、1日5分で1つ発明するノルマを自らに課した。1年間で250件ほど特許に出願できるようなアイデアを生み出した。
そのうちの1つが音声付きの多言語翻訳機で、試作機まで作り、1億7000万円を稼いだ」

・「さっそく今晩にも、ストップウオッチできっちり5分間測って、世界初のモノを考えてみてほしい。
新しい水道の蛇口とか、今までにない自動車のワイパーとか何でもいい。脳がちぎれるほど考えて、それがモノにならなかったとしても、そのアイデアは人生のどこかで役に立つはずだ」

ソフトバンクを創業する時も、どんな事業をすべきか40くらいアイデアを作った。恐らくどれを選んでも、少なくとも日本一、さらには世界一を狙えたと思う。それくらい最初に考え抜いた

・「『資金があるから事業をやる』ではなく『何をしたいか』で事業を決めることが大事。
ソフトバンクはモバイルインターネットの分野で成長を目指すと決め、情報革命で人々を幸せにするという理念を掲げた。
ボーダフォン日本法人の買収は2兆円近くを投じる大ばくちだったが、携帯電話事業への参入はソフトバンクにとって欠かせない選択だった」

・「時代は追ってはならない。読んで仕掛けて待たねばならない」
既にあるモノをちょっと変えて売る、という程度のモノはどのみち続かない。
「新しい時代を作るんだ、世界中の人に興奮を与えるんだ」というくらいの情熱が必要と説く。
先を読む冷静な目と熱い情熱とが混在しているところが、孫流経営らしさかもしれない。

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