<コメント>
麻薬の売人は自分でやらないし、自分の子供にも使わせない。
デジタルドラッグの売人も同じだ。
よその子には売り込むが、自分の子供には与えない。

現代ビジネスの記事より

――「お宅のお子さんたちは、iPadをさぞ気に入っているのでしょうね」。
ちょうど、アップルの最初のタブレットが店頭に出回りはじめたころだ。すると彼は「うちの子どもたちは、まだ使ったことがないんだよ。家では、子どもたちがテクノロジーを使う時間を制限しているからね」と言ったのだ。

そしてその後、私はジョブズと同様のことを言う、テクノロジー会社の最高経営責任者やベンチャー投資家たちに何人も出会った。彼らは子どもたちがスクリーンに向かう時間を厳しく制限し、学校がある平日はすべてのデバイスの使用を禁じていた。週末にだけ、わずかの時間を与えるというケースも多く見られた。
テクノロジーのCEOたちは、一般的な人たちが知らないことを分かっているようだ。

クリス・アンダーソンは
自宅にあるすべてのデバイスに対し制限時間を設け、親が管理}するようにしている。
「子どもたちは、私と妻のことを、ファシストで、テクノロジーについて過剰な心配をしていると非難する。そして、同じような規則がある友だちなんて、ひとりもいないと言う。
でもこうするのは、私たちがテクノロジーの危険をこの目で見てきたし、私自身が経験しているからです。子どもたちには、そういうことが起こってほしくはないですからね」
彼が「危険」とすることのなかにはポルノのような有害なコンテンツに晒されることや、他人からのいじめ、
そして、おそらく何より最悪なのは、両親と同じように、子どもたちもこうしたデバイスの中毒になってしまうといったこと}が挙げられる。

テクノロジーをコアとするコミュニケーションとマーケティングの会社であるアウトキャスト・エージェンシーの最高経営責任者であるアレックス・コンスタンティノープル
一番下の5歳になる息子には、平日にテクノロジー機器を使うことを禁じ、上の10歳と13歳の子どもには、学校がある日の夜は30分だけ使用を許可しているという。

ブロガーとツイッター、さらにメディアムの創業者であるエヴァン・ウィリアムスと妻のサラ・ウィリアムス
2人の小さい息子にはiPadのかわりに、いつでも手に取って読める何百冊もの本(もちろん、電子本ではなく紙の本)を与えていると述べている。

10歳以下の子どもは、もっとも中毒になりやすいので、親たちは線引きをして、平日にこれらのデバイスを使うことを禁じている。
そして週末には、30分から2時間までを限度に、iPadやスマートフォンの使用を許可する。
10歳から14歳の子どもに対しては、学校のある日の夜にもコンピューターの使用を許可するが、それは宿題のためだけだ。

テクノロジー・メディア関係とアナリティックスの会社であるサザーランドゴールド・グループの創業者CEOであるレズリー・ゴールド
「子どもたちに対しては、平日のスクリーン・タイムはゼロという厳しいルールを設けています。しかし、年齢が高くなれば使用を許可しなければならないし、学校で使うためにコンピューターが必要になります」と言っている。

送られてきたメッセージを削除する、スナップチャットのようなサービス以外は、ティーンエージャーにソーシャル・ネットワークの使用を禁じている親もいる。
後々、人生の問題になるようなことを、オンライン上で言う心配がないからだと、ある重役は指摘する。

私の知り合いの、テクノロジー関係者以外の親のなかには、わずか8歳の子どもにスマートフォンを与えている人もいるが、
テクノロジー関係の会社などで働く親の多くは、子どもが14歳になるまで待つようだ。
そして、これらのティーンエージャーたちは、電話をかけたりテキストを送ったりはできるが、
16歳になるまでデータプランは与えられない。
いずれにせよ、私が意見を聞いたテクノロジー関連の親たちの間には、ひとつの共通したルールがある。
「一番のルールは、寝室にスクリーンを持ち込まないこと。これは例外なしです」とアンダーソン氏は言っている。

「消費される時間」と「創造する時間」は区別すべき
テクノロジー関連で働く親たちのなかには、時間による制限を設けている者もいるが、子どもがスクリーン上でやってもよいことに関して、より厳しく制限している親もいる。

アイライクの創業者でフェイスブック、ドロップボックス、ザッポスのアドバイザーでもあるアリ・パートヴィは、ユーチューブやビデオゲームなどの「消費される」時間と、
スクリーン上で「創造する」時間を明確に区別すべきだと指摘する。
「子どもが絵筆をとったり、ピアノを弾いたり、ものを書いたりする時間に対しては制限しないということと同様で、コンピューター・アートやビデオの編集、
あるいはコンピューターのプログラミングをするために使う時間を制限するのは、おかしなことだと思います」と彼は言う。

しかし一方で、完全な禁止が裏目に出て、デジタル・モンスターを生みかねないと指摘する者もいる。
ツイッターの最高経営責任者であるディック・コストロ夫妻は、ともにティーンエージャーである2人の子どもたちが居間にいる間は、好きなだけデバイスを使うことを許可している。
過剰な時間制限は、子どもに逆効果を生みかねないというのが彼らの考えだ。

「ミシガン大学にいたころ、寮の隣の部屋にいたヤツの部屋には、コカコーラやその他の炭酸飲料の箱が山ほど置いてあったんです。
後になって、それは、子どものころに親が炭酸飲料を決して飲ませてくれなかったからだということが分かりました。
子どもにある程度、こういったものに触れさせておかないと、後々どんな問題が起こるか分かりませんからね」とコストロは言っている。

私はジョブズに、子どもたちは彼が作ったデバイスを使う代わりに何をしていたのかを聞きそびれたので、彼の家で多くの時間を過ごした、
『スティーブ・ジョブズ』の著者であるウォルター・アイザックソンに連絡をとってみた。
スティーブは、毎晩キッチンにある大きな長いテーブルで必ず夕食をとり、本や歴史、その他あらゆることについて話していました。
iPadやコンピューターを取り出す者は誰もいませんでしたよ。彼の子どもたちが、デバイス中毒になっている様子は、まったくみられませんでした」とアイザックソンは言った。

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