僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた アダム・オルター

プロローグ

・SNSへののめり込みは意志力の問題でない
 「スクリーンの向こうにあなたの自制心をくじくことを生業にしている人間がたくさんいる」
・ジョブズは子供にiPadを与えない、多くのIT関係者は自分の子供にネット利用を制限している
 (他人に売っても自分の子供には与えない麻薬の売人と同じ)
・TwitterもYoutubeもInstagramもどこまで行っても終わりがなく、のめり込むように設計
・依存症は条件が揃えば誰でもなりうる
・昔はタバコ、アルコール、ドラッグ、ギャンブル程度、現代はさらにポルノ、SNS、ゲーム、動画、スマホなど誘惑だらけ
・ネットショッピング依存症も深刻。欲しい物を簡単に探せて、カードで買えてすぐ手に入る
・IT専門家が自身や家族のIT利用に慎重なのは、彼ら自身がIT依存症を作る側だから
・ゲームでの達成、いいねの獲得、すべて即時的快楽をもたらし依存症を作る
・現代の依存症は物質を体に取り込むとは限らない。昔より強力に、巧妙
・10万ドル単位の所得を得ていても行動嗜癖でがんじがらめの人も多い
・1日数百回メールチェックするメール依存症
・FBで人間関係が可視化されるだけでなく清算しにくくなっており、元交際相手のネットストーカーになりやすい
・行動嗜癖は薬物依存症より安価、お手軽なだけでなく合法で簡単に隠せるので問題が大きくなりやすい
・テクノロジー会社はタバコ会社と同じように意図的に客が依存するように設計
・物質依存症:アルコール、ドラック、タバコなど体内に物質を取り込む
・行動嗜癖 :体内に物質を取り込まないが、有害な行動を反復して抜けられなくなる
・行動嗜癖に共通するのは「変動強化」 →たまにアタリが出るとのめり込む
  ゲームがクリアできなかったり出来たりする
  投稿にいいねが付いたり、付かなかったりする
  面白い投稿を見つけたり、見つけなかったりする
・アルコールや薬物から距離を置くことはできるが
 ネットやメールやスマホから距離を置くことは難しいので依存しやすく、直しにくい

第1章 物質依存から行動依存へ

・測定アプリによると1日にスマホを見る平均時間は3時間 週21時間 月84時間 年1008時間
・著者は1日1時間程度だと思ったが測定アプリによると1日3時間は見ていると知って驚いている
・測定アプリを入れる人はスマホの使いすぎを意識している人。意識してない人は3時間以上だろう
・1日3時間=活動時間が12時間とすると、1日の1/4はスマホ
・スマホを使っていたくても手元にあるだけで集中力低下
・ワールド・オブ・ウォークラフトは依存性の高さでは筆頭(ポピュラー・サイエンス)
・早く快適にプレイ、他のプレイヤーと交流できるのが依存性と関係
・ポルノも買い物もどこでも快適にできるようになって問題が広がった
・便利になるほど誘惑も強烈に
・強迫観念:考えるのを止めることが出来ないこと(やらないと不快)
・強迫行動:行動を止められないこと(やらないと不快)
・行動嗜癖:行動を止められないこと(やると快、正の強化)
・強迫性の情熱:極度にハマっており、生活を圧迫する
・調和性の情熱:ハマっているが、生活を圧迫せず調和する(長期的趣味のようなもの)
・理論上どんな行動でも依存症になるが、IT系依存症は特に危険
・SNSの時間が長い人は集中力が低い
・MSによると人の集中できる時間は年々短くなっている
・ネアンデルタール人はDRD-4-7Rという遺伝子を持っており、これが好奇心や大胆さを生んだ
 変種のDRD-4-4Rは現在でも10%の人が持つ。彼らは依存症になりやすい。
・フロイトはモルヒネ依存の治療にコカインが使えるのではと考え自己投与→依存症になり一年後に否定的
・当時は依存症は意志が弱い、知能が低い人がかかると考えられており、フロイトは自分は大丈夫だと思っていた
・コカコーラの原点は負傷しモルヒネ依存症になったペパートン大佐がモルヒネ依存症の対策として考え出した「ワイン+コカイン」
 →禁酒法でワインを抜いて、炭酸飲料に。
・フロイトやペパートンがコカインの依存性を初めは見抜けなかったように、現代人もITの依存性を見抜いてない
・Flappy Bird(フラッピー・バード)は依存性があまりに高くてクレーム殺到で製作者が取り下げた
 非常に動きの早いゲームでのめり込ませる効果が大きい
 のんびりした動きのゲームより早い動きのほうがのめり込ませる
・社会、サービス、機能のスピード化により、スローなものが嫌われ、スピードがあるものが好まれるように

第2章 僕らはみんな依存症

・ヘロイン依存症のベトナム帰還兵は帰国後に95%が依存症を克服した
 ヘロイン依存は単なる物質的な依存でなく、ベトナムの環境とリンクしており、帰国することでリンクが外れたと考えられる(リー・ロビンス)
・サルも檻の中では脳の電極を通じて快楽を与えるレバーを押し続けるが、檻から出ると正常になる。
 →猿の依存症も檻という環境と結びついている
・依存症は記憶に依存している。トリガーがある場所で再発し、トリガーがない場所では再発しない
・ラットの快楽中枢の発見(オールズ&ミルナー)
・施設でゲーム依存症を一度克服しても、一度ゲームをするとあっという間に逆戻り
 その後は、ジム経営をし運動し、リアルの人間関係を構築し再度克服
・協力ゲームでの心地よい人間関係がゲーム依存を強力にする

第3章 愛と依存症の共通点

・ブルーライトから睡眠障害、そこから健康被害全般
・ゲームと薬物の神経学的反応は同じ
・ゲームも薬物もどんどん増やさないと快が得られなくなるのでのめり込む
・物質や行為が依存を生むわけでなく、何らかの苦痛から逃げる時に利用すると依存する
(寂しい時、苦しい時、退屈な時にゲームする、アルコールを飲む、ドラックを使うなどすると依存)
・物質や行為が心理的苦痛を癒やすと脳が学習すると依存する 
 (不安→薬→落ち着くを繰り返すと脳が学習して不安のたびに薬を求めるようになる、薬そのものでなく学習が重要)
・10代は依存症になりやすい、20代前半をこえれば依存症リスク下がる
・恋愛中の脳はドラックでハイになっている状態と画像診断では同じ
・愛と依存症は隣り合っている。問題のあるものに愛を向けると依存症

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